N次元文学について

 通常、文学とは1次元で描かれる。一本のライン上に文字を配置し、直列式に、順番に物語を紡いでいく。かく言うこのブログも、1次元で書かれている。我々の多くは言語を直列式に考えて表現しているので、1次元の文学は無理の無い表現技法と言えよう。

時代は並列処理 

 しかし、本当にこれで良いのか。今やコンピュータは、並列処理を基本とした構造になっている。人もまた、昨今では右脳的と呼ばれる並列処理による思考が重要視されている。時代は並列処理なのだ。この世界だって、もしかしたら無限に広がる波動関数による並列世界の一つにしか過ぎない。そんな中、直列的思考に依存した言語表現に未来はあるのか?  否。間も無く訪れるであろうシンギュラリティを超えた時、コンピュータはコンピュータ自身の手によって、人智を超えた新たな言語を構築するであろう。それは、この世の最小単位(紐?膜?)の量子的振る舞いをモデルにした、11次元言語である事が予想される。それは、この世界のミニチュアそのものだ。

11次元のイメージ
出典:https://en.wikipedia.org/wiki/String_theory

 或いは、遠い未来にはより形而上的会話の為に、G↑64(4)次元言語が生み出されるかも・・・?その時、人類はコンピュータの英知を前に、ただ平伏すしかない。彼等の言ってる事はわからないが、少なくとも、愚かな人類の考える事よりはましだと、人類は思考する事を諦め、全知全能のコンピュータのペットとして、永遠の天国で生ける屍となるであろう。

 そんな未来を易々と受け入れるわけにはいかない。我々は1次元の文学から卒業し、来るべく新時代のコンピュータに負けない文学を創り続けるのだ。

2次元文学作品の作り方

 というわけで、私は手始めに2次元文学を勧める。作り方は簡単だ。まずは表計算ソフトを開こう。仮に、そこに「おにぎり」と書くとする。まずは、新規で開かれたシートの一番左上のセルA1に「お」と入力しよう。それが、記念すべき2次元文学の第一歩だ。次に、新しいシート、第2シートを開く。同じくそこのセルA1に「に」と入力。同様に、第3シートのセルA1に「ぎ」。第4シートのセルA1に「り」。こうして、セルA1の領域のみで「おにぎり」を表現する事が出来る。これでは一度に読めないじゃないかという人は、プリントアウトして並べて読むなり、gif画像に変換して読むなりしてみよう。

 次に「あおぞら」を入力してみよう。使用するセルはB1だ。シート1のセルB1に「あ」、シート2B1に「お」、シート3B1に「ぞ」、シート4B1に「ら」。するとどうだ。「おにぎり」に壮大な背景が生まれるだろう。次はセルA2だ。ここには「はらぺこ」と入力する。シートの1から4のセルA2に、それぞれ順番に「は」「ら」「ぺ」「こ」と書いてみよう。「おにぎり」に纏わる背景はより多層的になるであろう。最後に、セルB2のシート1から4には、「ぎゃくさつ」と入力しよう。そう。この世界は沢山の物事が並列に進行している。あなたが、青空の下でおにぎりを食べている時、世界のどこかでは虐殺が起きているかもしれないのだ。  このようにして、2次元文学は多層的な世界観を並列に、同時間軸に表現する事が可能だ。一言では言い表せない、壮大な景色を同時に表現する事も可能だし、全く違うシーンを同時進行的に描く事も可能だ。

2次元文学作品
「おにぎり」

そしてN次元へ…

 あなたにやる気があるならば、3次元文学に挑戦してみよう。これは、大きな立方体を一つ一つの小さな文字が構成している所を想像しよう。この文字は1フレーム毎に変化する。もしこの立方体が10×10×10文字分の大きさで、60フレームあるとしたら、その小さな立方体には6000文字分もの密度がある事がわかる。3次元文学を駆使すれば、2次元文学では困難とされてきた、物・空間の立体的表現を容易なものとするだろう。

こちらはイメージ図。この文字が1フレーム毎に変化する。内側に文字は存在する。
出典:http://www.pxleyes.com/photoshop-picture/4eddf64faf446/Rubix-cube-of-life.html

 4次元文学ではさらに、時空を超えた文学的表現を、「時空を超えた」なんて形容せずに表現出来るようになる。その時人類は、文字通り時空を超えた想像力、表現力を手に入れるのだ。 私はこのような次元を超えた文学を総称して、N次元文学と呼ぶ事にする。Nの可能性は無限だ。いずれ、我々は11次元文学を、G↑64(4)次元文学を、\(\text{FOOT}^{10}(10^{100})\) 次元文学を開発するだろう。

N次元文学の求道者

 ちなみに、N次元文学を考えたのは私だけではないようだ。大阪大学で物理学を研究している橋本幸士教授も、なんと2次元文学作品を作っていた。当ブログは空間が2次元であるのに対し、こちらでは時間軸を2つにしている。これによって、たった2次元で並列世界的描写が可能になっている。